リムメカニズムロボット

リムメカニズムロボット「ASTERISK」の紹介

リムメカニズムロボット

昆虫は地面を歩く時には6本の脚で歩行をおこない,場合に応じて2本の脚を 「腕」として用いることによって物を持ち運んだりすることができます. リムメカニズムロボットとは,この昆虫の腕と脚の機能を併せ持つ, 「肢(リム)」という概念からヒントを得て,考え出されたロボットです. この「肢」の機能をロボットに持たせることによって,次の2つのことが可能となります.

  1. 作業する腕と移動する脚の状況に応じた使い分け
  2. 2つの機能の統合による構成要素の小型少量化

本研究室で開発したリムメカニズムロボット「ASTERISK」は1本につき4自由度を持った「肢」を6本持っていて, それぞれに肢が胴体を中心に放射状に60[deg]間隔に配置されています. そのため,全方向に対して,同程度の作業領域と持つことになります.

また,ロボットのデザインは表裏にも対称になっているため,転倒した時でも脚を反転させること で容易に復帰することが可能となります.

放射状に配置されたリム 各リムの構成 ロボットの使用表

さらに,ASTERISKには以下の6種類のセンサが搭載されています.

  1. 全ての肢先にある力センサにより,肢が押されているか引かれているかを検知します.
  2. 3本の肢先にある赤外線センサにより,熱源を探査することができます.
  3. 胴体にある加速度センサ,ジャイロセンサにより,胴体の傾きを検知します.
  4. 3本の肢先にある無線カメラ,胴体にあるWebカメラにより,画像を取得できます.

ASTERISKは,2005年6/9〜6/19に愛・地球博のプロトタイプロボット展に出展し, その可能性を示すデモンストレーションを行いました.

腕脚統合型ロボット"ASTERISK"の等方向デザインを利用した回転移動

腕脚統合型ロボット"ASTERISK"の等方向デザインを利用した回転移動を提案しています. ASTERISKが脚を伸ばした状態を上面からみると車輪の骨組みのような形状になることが分かります. 2足歩行ロボットでは坂を転がるモデルとして有名ですが,そのような動作をASTERISKで実現するための研究をしています. 実際のロボットで坂を転がる受動的な動作をそのまま実現することは難しいことから,2足歩行ロボットで用いられるような質点の移動を模擬する動作を導入しています. また,実際に3次元の空間を歩くために1本脚と2本脚の繰り返し歩行モデルを2本脚と3本脚の歩行モデルに変更し,全身の関節角を動的に制御することで歩行を実現する方法を提案しています. 提案手法は動力学シミュレーションと実ロボットで検証実験を行っており,将来的には起伏に富んだ場所もスムースな移動が行えるように研究を進めています.

Result of Dynamic Rolling-walk Motion on ODE simulation Result of Dynamic Rolling-walk Motion with Gyro sensor

「ASTERISK」によるレーザーレンジファインダを用いた階段認識

本研究では,腕脚統合型ロボット"ASTERISK"に階段を登らせるためのレーザーレンジファインダ( Laser Range Finder (LRF) )を用いた階段の認識手法を提案しています. LRFによるスキャンでは,対象を素早く認識するための大まかなスキャンと正確に認識するための詳細なスキャンの2種類を行っています. 2次元平面上の距離データを測ることのできるLRFをモーターによって回転させることによって3次元空間でのスキャンを行っています. 実験では,LRFの計測限界の4mまでに位置する階段を認識し,ASTERISKの基準姿勢の高さの5倍の高さまでの階段の発見に成功しました. 発見後,ASTERISKは自動で階段に向かって移動し,本体の安定性と脚の可動範囲を常に考慮しながら階段を登ります.

実験環境 実験結果

腕脚統合型ロボット"ASTERISK"による多角柱の転がし運搬動作

転がし動作

本研究では,腕脚統合型ロボット"ASTERISK"の物体搬送能力の向上を目的として多角柱の転がし動作を実現しました. 「転がす」という動作は,小さい負荷で質量・体積が大きな物体を運搬するための効果的な方法です. 転がし動作を行う際には,ロボットの脚先から物体に加える力を制御します. ロボットの脚先―物体間・脚先―床間および物体―床間のそれぞれの間の摩擦も考慮に入れ,動作中に滑りが生じないための適切な力を力学的な解析によって求めます. 求められた力を発生させるようロボット本体の重心位置や各脚の関節角度を制御することによって,所望の"滑りのない転がし動作"を実現します. 解析結果に基づく脚先の力制御を実機に実装し,自重と同程度の対象物をほぼ滑ることなく転がすことに成功しました.

UFAMと移動ロボットを用いた建造物モニタリングシステム

本研究では,センサ搭載型RFID タグと移動ロボットを用いた協調モニタリングシステムを提案する. 構築するシステムは,RFID による常時モニタリング,移動ロボットによる巡回モニタリング,および, 2つのモニタリング結果を管理する情報管理サーバにより構成される.RFID は環境中に複数設置することで センサネットワークを構築し,移動ロボットは定期的に決められた経路のモニタリングやセンサネットワーク により発見された異常を確認するために用いられ,用途に合わせたセンサを搭載することで詳細なモニタリング結果を提供する. 実証を行う雨漏り検知システムでは,温・湿度センサ付きのUFAM(Ubiquitous Functions Activation Module) を採用し,センサネットワークを構築する. 移動ロボットへは,周囲の状況を観察するためのWEBカメラと温度変化の状況を詳細に知るためのサーモ グラフィーを採用することで,周囲の温度の変化を計測し,水漏れ発生箇所を特定するシステムを構築する. 構築した協調モニタリングシステムを実際の天井裏に配置し,検証実験を行い提案手法の有効性を確認した.

システム概要 実験結果

接触情報を用いた腕脚統合型ロボットによる障害物回避

実験結果

本研究では腕脚統合型ロボット"ASTERISK"のセンサ情報を用いた障害物回避手法を提案し,狭隘部での移動を実現する. 提案手法では,センサーフィードバックによる接触情報により,ワークスペースを保ちながら,衝突脚を障害物から回避するとともに, 衝突脚が好ましい動作領域を超えようとする際には,仮想インピーダンス壁を用いることで,胴体を障害物から回避させる. 狭隘部として進行方向両側に存在する壁に対して実験を行った結果,進行方向片側の壁にのみ衝突している際には接触情報を用いて, 形態変形と胴体の障害物回避を行うことで,ジョイスティックの指令方向を変えることなく,壁に沿うような動きを実現し, 進行方向両側の壁間においては,両側の脚を十分に折り畳むことで,その間を通り抜けることができた.

腕脚統合型ロボット"ASTERISK"による格子壁面歩行

格子壁面歩行

本研究では,腕脚統合型ロボット"ASTERISK"の移動領域を3次元的に拡大することを目的とし,環境側に格子状の構造物を設置した"格子壁面"上での移動である"格子壁面歩行"を提案しています.

静力学的な評価により安定な格子壁面歩行を決定し,また,歩行中は脚先の位置誤差からフィードバック制御を行い,位置誤差の修正と各脚の負荷分散を図ります.実験の結果,垂直な壁面と±30[deg]傾いた壁面上での格子壁面歩行を実現しました.

現在は静力学評価と遺伝的アルゴリズム(GA)を組み合わせた格子壁面歩行のオフライン最適化を行い,様々な傾きを持つ壁面上での最適格子壁面歩行を探索しています.また,壁面の傾きの他に格子間隔や"ASTERISK"のハードウェア構成などを変更した際の格子壁面歩行の自動生成法としての応用を考えています.

腕脚統合型ロボット"ASTERISK"によるスイング移動

屋外で作業移動ロボットの活動を考慮に入れた場合、不整地の踏破が可能となれば活躍の場を広げることが可能となります. 本研究では腕脚統合型ロボット"ASTERISK"の移動能力の拡張を目的としてワイヤに吊るされたロボットが脚をワイヤに掛け, 分解運動量制御を利用して全身の姿勢を制御しつつ漕ぎ動作を行うことでスイング動作を生成し, 所望する運動量を生成したのちに天井部に取り付けたウインチを用いてワイヤ長を変化させ目的位置へと移動するスイング移動を提案します. 物理シミュレーションを行い目標運動量を持つスイング動作を実現し,目標地点までの到達を実現しました.また実機実験にてスイング動作の生成を確認しました.

実験概要 実験結果

脚車輪ハイブリッド動作を用いたASTERISK Hによる不整地移動

脚車輪ハイブリッド動作

移動ロボットの移動機構として脚・車輪・クローラが主に用いられている.それぞれの機構で得意とする地形,不得意とする地形が存在するため,最近ではこれらを組み合わせた機構を採用し移動能力を向上させるための研究が盛んに行われている.中でも脚車輪型を移動機構として採用したロボットは,踏破性能の高い脚機構と移動効率の高い車輪機構の特徴を併せもち,移動能力の向上が求められるロボットにおいて有利な移動機構と考えられる.

本研究では脚車輪一体型ロボット"ASTERISK H"によるセンサ情報を用いた不整地移動手法である脚車輪ハイブリッド動作を提案し,移動能力と移動効率の向上を実現する.提案手法では,車輪走行が可能な整地では高速安定な車輪による走行を行い,段差を検出すると脚を用いた歩行により乗り越える.なお,不整地環境は車輪では乗り越えられないが脚では踏破可能な段差を対象としている.

段差形状として4種類を提示し,それぞれの段差について実験を行った後,それらを組み合わせた連続段差についても組み合わせパターンや段差の間隔を変え,いずれの組み合わせでも踏破できることを確認した.

NDTグリッドマップの高解像度化に関する研究

本研究では,腕脚統合型ロボット"ASTERISK"のような小型ロボットが,狭隘部で環境を把握するための地図生成を目的としています. そこで,障害物を詳細まで表現でき,データ量が一定に保てる高解像度化グリッドマップを作成しました.さらに,環境中のロボットの 位置を推定するNormal Distributions Transform(NDT)アルゴリズムを高解像度グリッドマップに適応させる手法を提案し,より高精度 な地図の作成を可能にしました.しかし,レーザーレンジファインダ(LRF)で環境を測定するとき,誤検出によって地図の高解像度化だけでは 小物体の位置の把握ができません.そこで本研究では,小物体の周辺で発生する誤検出を除去することで, より小さな障害物の位置まで正確に把握することができるようになりました.

実験環境 実験結果

「ASTERISK」の走行動作生成

走行中の1コマ

本研究では,腕脚統合型ロボット"ASTERISK"の行動範囲の拡大を行うことを目標としています. "ASTERISK"は小型ロボットで,狭隘部の通り抜けなどが可能なために人が進入できない場所での 点検や作業などが行える利点があります.そして現在は,さらなる移動の拡張として跳躍や走行といった ダイナミックな動きを研究しています.

まず跳躍動作を作成し,この跳躍動作を基本としながら,水平平面方向へ動作させることにより走行を実現しました. "ASTERISK"の走行中の横幅が約0.5[m]であり,1秒間に"ASTERISK"1台分の距離を進む速度(0.5[m/s])での走行に成功しました.